火星に「湖」、大量の水が存在か? イタリアの研究チームが発見
これまで火星では発見されていたのはすべて氷であり、液体の水は見つかっていなかった。
サイエンス誌の記事によると、欧州宇宙機関(ESA)に協力しているイタリアの研究グループは、火星の南極付近の表面下約1.5キロに、幅約20キロの湖を発見した。
研究グループは、ESAの無人探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」に搭載された地下探査レーダー「MARSIS(Mars Advanced Radar for Subsurface and Ionosphere Sounding)」から電波を照射して湖を突き止めた。電波は地表は通過するが、氷や岩盤など他の物質との境界面で反射する。液状の水分を含む物質の境界面からの反射は特に強い(火星と放射線像を並べた冒頭画像で、水の反射が青色の擬色で示されている)。
2012年3月から2015年12月までの間に、研究グループは火星の南極にあるアウストラレ高原から29組のレーダー測定値を収集した。測定値の分析結果は、地球の南極やグリーンランドの氷底湖のレーダー分析と類似していた。
火星は寒い。それなのに、なぜ氷の下の水が凍らないのだろうか。科学者は、火星の岩石に含まれる多量のマグネシウムやカルシウム、他の塩分が水中に溶け塩水を形成しているからだという。水に覆いかぶさっている氷の圧力に加えて、塩分が氷点を下げているのだ(お子さんと一緒に実験してみて!)。
大量の液体の水の存在は、将来の火星入植者にとって大きな恵みとなり得る。しかし掘削や脱塩のためには、多くの重い装置を火星に送らなければならない。また、初期の入植者はおそらく極点ではなく、赤道付近に着陸するだろう。彼らの最初の水源は、火星の中央部のいたる所ですでに発見されている氷床になる可能性が高い。