オルガノイドでがん治療薬を治験、効果予測に有効
研究者は、71人の結腸・直腸がん患者から採取した細胞を使って、各人に特有のミニチュアサイズの腫瘍を培養した。
「オルガノイド」として知られるこうしたミニ腫瘍に対して、研究者は、現在販売されている薬および実験薬を含む55種類の異なる治療薬を試してみた。
その結果、ミニ腫瘍を用いる今回の手法は、単純に腫瘍のDNAのシーケンシングをするよりも、治療薬が患者のがんに対して効き目があるかどうかをうまく予測できた。サイエンス誌に発表された研究結果によると、オルガノイドは与えられた治療薬に患者が良い反応を示すかどうかを88%の確率で予測することに成功したという。治療が効果的でないことについては、常に正確に予測できた。
研究論文の著者の一人であり、ロンドン大学がん研究所(ICR:Institute of Cancer Research)の研究者であるニコラ・バレーリ博士は、患者のがん細胞から培養したオルガノイドは、患者にとって理想的な治療計画を立てるのに使用できるという。がん患者を適切な臨床試験に振り分け、治療薬がうまく効く可能性を向上するのに特に有用だろうと述べている。