ペイパル、フェイスブック「リブラ」から撤退を表明
フェイスブックが計画しているデジタル通貨ネットワーク「リブラ(Libra)」への参加に署名している28の企業から成る非営利団体「リブラ協会(Libra Association)」に亀裂が生じつつある。 ペイパル(PayPal)がリブラからの撤退を決定したことから、現在の参加企業は27社へと減少した。
「現段階ではペイパルは、リブラ協会への引き続きの参加を見合わせることに決定しました」とペイパルは記者向けへの声明で発表し、リブラの「大望」を今後も支持し続けてゆくとも述べた。
ペイパルは同協会から脱退する具体的な理由について述べていない。しかし、10月3日のリブラ協会の会議にペイパルが出席せず、プロジェクトから手を引くことを検討しているとファイナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙が報じた直後に、今回の発表をした。同紙によれば、この動きは、これまでリブラが規制当局から受けてきた冷ややかな反応が原因の1つにあるとしている。
ファイナンシャル・タイムズ紙の報道は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が、「米国および欧州の政府当局筋から反発を受け、ビザとマスターカードが計画への関与を再検討中」と報じたのに続くものだ。WSJの報道によれば、リブラ協会の一部の参加企業の幹部は、このプロジェクトを公に支援するように求めたフェイスブックの要請を拒否したという。
政策立案者に対するフェイスブックの説明の肝となる部分は、デジタル通貨「リブラ」は、同社が単独で管理するのではなく、リブラ協会が運用・維持する非公開ブロックチェーン・ネットワーク上で運営されるということにある。 リブラ協会は最終的には、フェイスブックがリブラの発行を目指している2020年6月までに、28社のメンバー(現在27社)から100社にまで増やすことになっている。 フェイスブックはまた、リブラ協会のメンバーはそれぞれ、このプロジェクトに1000万ドルずつ出資する見通しだと述べているが、WSJによれば、出資はまだ実施されておらず、参加企業が出資する義務もないという。 フェイスブックは、リブラを発行するつもりであれば、懐疑的な政策立案者を説得するだけでなく、神経過敏になっているパートナー企業たちがペイパルに追随しないように説得する必要もあるだろう。