KADOKAWA Technology Review
×

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

ステーブルコイン標榜の暗号通貨「ベイシス」が終了・返金へ
Pixabay | Pexels
One of crypto’s most futuristic-sounding projects just came crashing down

ステーブルコイン標榜の暗号通貨「ベイシス」が終了・返金へ

自称「アルゴリズムの中央銀行つき暗号通貨」だった「ベイシス(Basis)」の運営チームは、プロジェクトを終了し、調達した資金を投資家に返還すると発表した

いわゆるステーブルコイン(安定通貨)は、安定した価額を維持し、大部分の暗号通貨の特徴である価格変動を回避するよう設計されている。中には、当該安定コインの価値を担保するために、単に現実に米ドルの引当金を確保しているものもある。だが、ベイシスは、新種のトークンを考案したと発表し、このトークンはそれぞれ「債券トークン」、「株式トークン」と呼ばれる2つの追加的なトークンの売買を操作する精巧なインセンティブ・システムのおかげで価額を安定させられると語っていた。これらのそれぞれ別個の市場によって、ベイシスの供給が調整されて価額を安定させるという。このコンセプトによって、アンドリーセン・ホロウィッツを含む数多くの巨大ベンチャーキャピタルから1億3300万ドルを調達していた。

ベイシスの創設者らは、「残念ながら、このシステムに米国証券規制を適用しなければならなくなり、ベイシスの立ち上げに重大な否定的影響が及びました」と12月13日に発表した。発表によると、弁護士らによって、債券トークンと株式トークンが証券とみなされるのを免れ得ないとの結論に達したという。証券と見なされた場合、ベイシスは適格トレーダーの「中央集権的なホワイトリスト」を保持しなければならなくなり、オークション参加者の範囲が制限され、安定性が損なわれる結果になると述べている。

今回の出来事は、暗号通貨市場で下落相場が続いていることとは関係ない。ベイシスなどの技術的に複雑なステーブルコイン・プロジェクトが、実際にうまく機能するかどうかはよくわかっていない。ベイシスの状況は、ステーブルコインに技術的な問題があると同時に、法的な問題もあることを示している。

マイク オルカット [Mike Orcutt] 2018.12.17, 11:32
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る