北朝鮮が暗号通貨のマイニングを拡大、「モネロ」採掘強化か
新しい報告書によると、北朝鮮の指導者は、国際的制裁から逃れる方法として暗号通貨のマイニング(採掘)を強化しているようだ。
サイバーセキュリティ脅威の分析を手がける米国企業レコーデッド・フューチャー(Recorded Future)の報告書は、核兵器計画の抑制を意図した制裁から逃れるため、サイバー犯罪や暗号通貨を利用している金正恩政権の活動状況を詳細に述べている。国連の最近の推計では、北朝鮮は金融機関や暗号通貨交換所に「広範囲の、ますます高度化したサイバー攻撃」を仕掛け、秘密裏に20億ドルを不正取得したとされる。国連とレコーデッド・フューチャーは以前、金正恩政権が暗号通貨の窃取に加え、採掘も始めていると報告していた。これまで以上に採掘の詳細が加えられた新たな報告書は、北朝鮮が活動を拡大していると指摘している。
2017年7月にレコーデッド・フューチャーは、北朝鮮政府がビットコインを採掘しているとほのめかす最初の報告の1つを公表した。1年後にレコーデッド・フューチャーは、北朝鮮の暗号通貨への関心とその利用が「爆発的に増大」していると述べた。韓国の暗号通貨交換所での窃取を多数成功させたほか、金正恩政権は匿名性の高い暗号通貨「モネロ(Monero)」の採掘も始めていた。モネロは、公開取引記録によって資金移動の追跡が可能なビットコインと違い、取引情報が一般の目に触れないように暗号化されているため、資金の流れを追うことが非常に難しい。新しい報告書は、北朝鮮のモネロの採掘量が2018年から10倍に増えたとの見方を示している。
採掘の拡大や取引所へのハッキングの成功、その他の暗号通貨関連の窃取を考慮すると、「暗号通貨は北朝鮮にとって、独立した規制の緩い収入源であるだけでなく、違法に獲得した資金の移動や使用の手段として価値ある道具となっている」と報告書は結論づけている。