米ネット中立性規則、上院で「復活」も撤廃阻止は困難か
6月11日に廃止される予定のネットワーク中立性規則を巡って、政治的に極めて緊迫した事態となっている。
ネットワーク中立性規制とは、AT&Tやコムキャスト(Comcast)のようなインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が特定のWebサイトへのトラフィックを阻止したり減速させたりすることを規制するものだ。オバマ政権時代に導入されたこの規則について、昨年12月、米国連邦通信委員会(FCC)は廃止を決定。だが5月16日、米上院はこの決定を覆す採決をした。アルス・テクニカ(Ars Technica)によると、3人の共和党議員が民主党議員とともにネット中立性支持に投票したという。
米下院でも今後採決される予定だが、共和党議員の大多数はFCCに反対するつもりはない。奇跡が起きて下院が規則維持を支持した場合でも、依然としてトランプ大統領は議会の決定を拒否できる。
ネット中立性規則を撤廃することは、米国のイノベーションにとって有害である。資金力に富む大企業は高速トラフィックに容易に資金を投入できるが、財務基盤が不安定なスタートアップ企業は不利な立場になる。ISPは自制するとしているが、期待すべきではない。速度によって利益を得ようとする誘惑と、ライバルよりも自社のWebコンテンツを優遇するという2つの誘惑に抗うことは難しいからだ。
- 参照元: Ars Technica