NASAが次のミッション候補を決定、金星や衛星イオを探査
米航空宇宙局(NASA)は新たなミッションの提案を発展させる4チームを決定した。それぞれのチームは300万ドルを受け取り、今後9カ月間にわたって各自の計画を調査する。
その後NASAが実現可能性や科学的価値に基づいて、その中から1つか2つ、来年の正規のミッションとなる計画を選ぶ。4チームの提案はいずれも、太陽系についてさらに知識を深め、惑星科学における差し迫った問題に取り組むことを目指している。
候補となった4つのミッション
・「ダビンチ(DACINCI:Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble gases, Chemistry, and Imaging Plus、金星の下層大気・希ガス・化学組成を調査・画像化など)」
宇宙船を金星の高密度・高温の大気に下降させ、大気の組成を観測する。金星がどのように形成されたか、かつて海洋があったのかなどを把握するのに役立つだろう。
・「ベリタス(VERITAS:Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and Spectroscopy、金星の放射率・電波無線科学・干渉SAR・地形調査・分光法)」
強力なレーダー機器を金星の軌道に送り、金星の表面の地形図を作成し、地質学的歴史について理解する手がかりを得ることを目指している。金星の表面の様子や、金星がなぜ地球とこれほど発達の仕方が違うのかについて理解を深めるのに役に立つだろう。
・「イオ・ボルケーノ・オブザーバー(IVO: Io Volcano Observer)」
木星の衛星であるイオのすぐ近くを数回通過する宇宙船を送り込む。イオは太陽系で最も火山活動が活発な天体だが、具体的な特性はほとんど知られていない。イオではマグマがどのように生成されているのか、多数の巨大な火山はまさにどのように噴火するのかを解明することで、岩石からなる地球型天体の形成と進化について理解する助けになればという狙いがある。
・「トライデント(Trident)」
海王星と巨大な凍った衛星、トリトンの近傍を宇宙船を通過させ、太陽から離れているにもかかわらず、なぜこれほど活動的なのかの解明を試みる。トリトンとその活動的プロセスの地図を作製し、1989年にトリトンの近くを飛行したボイジャー2号のミッションにより予測されたように、地表下に海洋があるのかを解明する。これは生命が居住可能な世界がどのように作られるのかを理解するのに役立つだろう。
上記の4つのミッションはすべて、NASAのディスカバリー計画の一環である。ルナー・リコネサンス・オービター(Lunar Reconnaissance Orbiter)やマーズ・インサイト・プローブ(Mars InSight Probe)などのプロジェクトもディスカバリー計画の管理下にある。