過酷な状況を乗り越え、探査機インサイトが火星着陸に成功
6ヵ月間の旅を経て、火星の大気圏に劇的な突入を果たした探査機インサイト(InSight)が、火星への着陸に成功した。
インサイトは、米国東部時間11月26日午後3時前(日本時間11月27日午前5時前)に火星の表面に着陸した。着陸が確認されると、NASAのジェット推進研究所(JPL)の管制室に拍手と歓声が沸き起こった。その後間もなく、探査機の目前の光景を写した最初の画像が送られてきたのである。
NASAは、インサイトが無事に着陸したとの信号を受け取るまで、数分間待たなければならなかった。着陸に関する信号はインサイトに搭載されたアンテナから発信されるが、着陸時のデータは、軌道上を飛行する探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter )と、マーズ・キューブ・ワン・ミッション(Mars Cube One mission)の一部である2機の小型人工衛星よって記録されているからだ。
まだインサイトの態勢が整ったわけではない。インサイトが完全に機能するには、着陸の際に舞い上がった粉塵が収まるのを待ってから、ソーラーパネルを広げなければならない。その後、NASAの探査機マーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)が上空を飛行し、パネルが広がっていることを確認することになっている。すべての段取りが整い、研究者たちからの了解を得るまでには数時間かかるので、盛大なお祝いはもう少しお預けとなりそうだ。
インサイトのロボットアームは、その周囲の火星の地面の上に2つの科学実験装置を配置する予定だ。 1つは火星の温度を測るために火星の表面の下を最大16フィート(約5メートル)を掘る装置であり、もう1つは火震の兆候を探る地震計である。これまでにも述べてきたように、この実験は火星のような岩石でできた惑星がどのように形成されたのか、火星は地質構造的にどの程度活発であるのか、どの程度の頻度で隕石が衝突しているのか、などについての洞察を科学者たちに提供することになるであろう。