米国防総省の100億ドル「ジェダイ」契約、マイクロソフトが落札
米国防総省は10月25日、クラウド・コンピューティング・システムを一新するため、今後10年間で100億ドル規模の契約をマイクロソフトと結ぶと発表した。
防衛基盤統合事業(Joint Enterprise Defense Infrastructure:JEDI、ジェダイ)と呼ばれる新しい契約の15カ月にわたる入札プロセスでは、アマゾンが最有力候補と見られていた(入札には両社のほかオラクルとIBMが参加していた)。ガートナー(Gartner)によると、クラウド・コンピューティング市場におけるマイクロソフトのシェアは17%なのに対して、アマゾンのシェアは約48%であり、政府事業に必要な高レベルの機密取り扱い許可も保持している。
ドナルド・トランプ大統領は、アマゾンが落札する可能性について繰り返し公然と批判してきた(どうやらトランプ大統領はアマゾンと同社のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)に対する復讐劇の真っただ中にいるようだ)。またジェームズ・マティス前国防長官のスピーチライターは、トランプ大統領がアマゾンを今回の契約から締め出すよう介入したとワシントン・ポスト紙に証言した。
ジェダイの狙いは、国防総省のテクノロジー・スタックを更新し、複雑な数十年来の古いコンピューター・ネットワークを単一のクラウド・コンピューティング・システムに置き換えることにある。マイクロソフトはデータ分析サービスを提供するほか、軍事機密情報のホスティング、メールやカレンダーなどの国防総省のシステムをオフィス365のソフトウェアへ切り替える。マイクロソフトにとっては大きな成果だが、同社従業員の間ではある種の緊張を引き起こすかもしれない。
入札プロセスへの政治的介入の可能性に対するいくつかの訴えと莫大な契約金額を考えると、アマゾンが今後、異議申し立てをする可能性もある。