沈黙を破ったザッカーバーグCEO、データ流出問題の対策を発表
それにしても、フェイスブックのCEO(最高経営責任者)が認めた誤りは、あまりに少なく、あまりにも遅すぎた。
このところフェイスブックを揺るがし続けている大規模なデータ・スキャンダルについて、マーク・ザッカーバーグCEOがようやく口を開いた。この騒動は、データ分析企業ケンブリッジ・アナリティカ(CA:Cambridge Analytica)が、フェイスブックの数千万人にも及ぶユーザー情報を不正に取得した事実が発覚したことから火がついた。
ザッカーバーグCEOは、ケンブリッジ大学のアレクサンドル・ コーガン教授とCAが、ユーザーデータを削除したとしてフェイスブックを欺いたことを非難。今回の出来事は「フェイスブックと、自らのデータが保護されるものと信じて預けてくれた人たちとの間の信頼関係を裏切るものだ」と記している。
フェイスブックは2014年からユーザーデータへのアクセスを厳しく制限。今回の事件を受けて2014年以前に大量のユーザーデータにアクセスしたすべてのアプリを検査し、不審なアプリの利用を停止するとともに、データの悪用があればユーザーに通知する予定だ。
ユーザーがアプリを使い始めるときに開発者が取得できるデータについても、フェイスブックは今後制限する予定だ。3カ月間使われていないアプリについてはデータへのアクセスを無効化。氏名、プロフィール写真、電子メールアドレス以外のデータにアクセスするには、ユーザーとの電子契約が必要になる。また、どのアプリがデータを使っているのかをユーザー自身が直接確認し、管理できるようにする計画だという。
いまだに答えが出ていない疑問もある。なぜフェイスブックは、CAが不正に取得したユーザーデータを削除していなかったことを把握しながら公表しなかったのか。なぜこの出来事への対応が何年も遅れたのか。フェイスブックやサードパーティ企業が、広告やその他のサービスの目的でユーザーデータをどのように使っているのか、透明性への深い懸念も残ったままだ。フェイスブックのビジネスモデルが内包する矛盾を考えれば、ザッカーバーグCEOの対応は大手術が必要な大怪我に絆創膏を貼るようなものだ。
今回発表されたフェイスブックの対応によって、騒動が終焉に向かうわけではない。米英政府による徹底的な調査、元従業員からの厳しい批判、そして将来起きる大量の訴訟とまだまだ続くのだ。