軌道上で太陽帆の展開を完了、ライトセイル2号は現在加速中
地球の低軌道を周回している「ライトセイル2号(LightSail-2)」は現在、太陽光を帆で捕捉し、宇宙航行の動力源としている。
エンジニアたちは7月23日に、ライトセイル2号の帆を展開するボタンを押した。帆は表面積が約32平方メートルあり、人間の髪の毛よりも薄いマイラー(ポリエステルの一種)でできている。
ライトセイル2号には帆があるが、風を利用して進むわけではない。この太陽光反射帆は、太陽が放つ光のエネルギーを推進力に変えて、宇宙船を帆走させる。ライトセイル2号は、最初はゆっくりとしか動かないが、次第に勢いがつき、加速していく。地上のエンジニアたちは、ヨットを操船するように、ライトセイル2号の帆の角度を調整して舵を切ることができる。7月の初めには、同宇宙船から最初の地球の写真が届いた。
ライトセイル2号は、6月25日に打ち上げられたスペースX(Space X)の「ファルコンヘビー」ロケットに、他の運搬物と一緒に載せられていた。クラウドファンディングによって資金を調達した惑星協会は、太陽光反射帆を搭載した宇宙船の打ち上げを10年間も待ち続けた。先行のライトセイル1号は2015年に太陽光反射帆を展開したが、ほんの数日後に地球へ落下してしまった。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA) は、2010年5月21日にH-IIAロケット17号機で打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」で、太陽光反射帆の展開に成功した。
だが、太陽光反射帆という考え自体はもっと昔からある。1970年代にSF作家のカール・セーガンが初めて提案したが、1600年代の昔にドイツの天文学者、ヨハネス・ケプラーは彗星の尾が、太陽の「微風」と思われるものに吹かれているのを観察し、太陽光反射帆を想像していた。