自動運転技術をめぐってバイドゥが元幹部を提訴
検索エンジンを手がける中国の巨大企業バイドゥ(Baidu)が、無人自動運転車の技術を盗んだとして、ジン・ワン前上席副社長を訴えている。ワンはバイドゥの自動運転部門の責任者だったが、2017年3月に退職し、ジンチィ(Jingchi:景驰)という無人自動運転会社を立ち上げた。
2017年6月、ジンチィは自律走行車の公道での最初のテストを成功のうちに完了した。創業からわずか2カ月後のことだ。テックノード(Technode)によると、ジンチィが驚異的な成果を上げたのはワンが退職時にバイドゥのコンピューターの1つを不正に持ち出したからだ、とバイドゥは主張している。ワン前上席副社長が持ち出したとされる機械には、バイドゥが取り返そうとしている知的財産が含まれている可能性があるという。
バイドゥとワン前上席副社長のいざこざは、一見、皮肉に見えるかもしれない。バイドゥの自動運転プロジェクト「アポロ(Apollo)」の目標の1つが、自動運転車向けソフトウェアを無償公開することだからだ。
だが、バイドゥのそんな太っ腹な計らいもハードウェアにまで及ぶことはないだろう。そしてこの抗争では、アルファベット(グーグル)の自動運転部門、ウェイモ(Waymo)とウーバーの間で現在続いている白熱した法廷闘争がそっくり繰り返されている。ウェイモ(Waymo)は前社員のアンソニー・レバンドフスキが自動運転トラック企業オットー(Otto)を起業するために退職した際、ウェイモの特許であるライダー(LIDER:レーザーによる画像検出・測距)技術の秘密を不正に持ち出したとして、提訴している。オットーはその後、ウーバーに買収されている。
バイドゥは賠償金としてワン前上席副社長に5000万元(760万ドル)を要求し、バイドゥから盗んだ企業秘密の使用を停止するよう求めている。訴訟は現在、北京の知的財産裁判所(北京知的財産法院)で審理中だ。