機械学習のトップカンファレンスで繰り広げられる、AI人材争奪戦
年俸が30万ドルを超えるのは普通で、ときには100万ドル台になることもある。人工知能(AI)界のスーパースターになれば、実際のところ稼げる。
カリフォルニア州ロングビーチで12月4日から9日にかけて開催されている「神経情報処理システム (NIPS:Neural Information Processing Systems)」 会議では、ますます不足している人材をめぐる採用シーズンがたけなわである。
ディープマインド、グーグル、エアビーアンドビー(Airbnb)、JPモルガン、インテルといった列強がこぞってNIPSに押し寄せ、できる限りの力を尽くしてAI界の最高の才能を手に入れようとしている。各社のプライベート・パーティーが開かれ(上の写真はラッパーのフロー・ライダーを招いたパーティーの様子)、ロボット・マスコットのコスチュームを着た人がいたり、おみやげが山積みになっていたりする。
インテルAI製品グループでグローバル人材採用の責任者を務めるクリス・ライスはブルームバーグに次のように語っている。「不足している才能については、人材がなかなか見つからないことがあり、NIPSのようなイベントの参加者にも手を伸ばす必要があります。NIPSはAIに関する今年最大のイベントなのですから、必ず参加しなければなりません」。
中国のテクノロジー企業であるテセント(Tecent)の最新のレポートでも、人材不足が改めて指摘されている。このレポートが示すところでは、世界中に約30万人の「AIの実務担当者や研究者」がいるものの、これらの能力を持つ人への需要は数百万件にもなるという。ザ・ヴァージ(the Verge)が指摘するように、この数値は不確かであり、どのように算出されたのか、根拠も不十分だ。だが、ほんの数年前まで比較的平穏だった研究会議で熱狂的な採用合戦が繰り広げられ、AI人材をめぐる給与が高騰していることは、こうした状況にぴったり合致する。
米国だけの問題ではない。シリコンバレーの巨大企業が先に才能を確保してしまう中、ヨーロッパのスタートアップ企業もAIに関する才能のある人が足りないことを認識しつつある。人材不足に対処するため、業界の有名企業のいくつかは新たなオンライン研修課程を創設する取り組みに尽力している。以前紹介したように、複数の巨大テック企業による機械学習チームの共有も試みられるかもしれない。