FB暗号通貨「リブラ」は中国にも脅威=テンセント
中国最大級のテック企業の1つであるテンセント(Tencent:騰訊)によると、フェイスブックのデジタル通貨が実用化されれば、中国で絶大な人気を誇るデジタル決済プラットフォームであるアリペイ(Alipay)やウィチャット・ペイ(WeChat Pay)にとって脅威となる可能性がある。
コインデスク(CoinDesk)の記事によると、ウィチャット・ペイを傘下に抱えるテンセントは、「リブラが実用化されれば、ウィチャット・ペイやアリペイなどの比較的成熟したデジタル決済システムを持つ、あらゆるインターネット企業が脅かされる恐れがある」との記述を含む、中国語の報告書を発表した。ウィチャット・ペイとアリペイは巨大な中国市場のいたるところで利用されているだけでなく、海外にも進出し多くの国に普及している。だが、世界最大のグローバル・ネットワークを押さえているのは、20億人を超えるユーザーを抱えるフェイスブックだ。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は米連邦議会の公聴会で、フェイスブックが提案した電子マネー「リブラ(Libra)」を米国の国力を高める潜在的能力を持つ道具とみなすよう議員らに強く促した。 現在の構想では、ブラは複数の主権通貨で構成される準備金によって裏付けられることになっている。だが、「大半」は米ドルなので、国際金融システム、中でも中国に対する米国の実質的な影響力の強化につながるとザッカーバーグCEOは主張した。
フェイスブックによるリブラの提案は、どうやら中国が以前から構想していたデジタル人民元の発行計画を加速させたようだ。中国は「今後数カ月以内」に新たなデジタル通貨の発行を計画しているだけでなく、世界各国へ「輸出」する意図も持っていると、ザッカーバーグCEOは議会で話した。
一部の外交政策アナリストは、中国がデジタル人民元を軸とした国際的な野望を抱いているとの見方に同意している。もしそれが事実なら、ウィチャット・ペイやアリペイはデジタル人民元の普及のために利用されるかもしれない。2019年9月、中国人民銀行決済局のムー・チャンチュン(穆長春)副局長は、中国が発行を計画しているデジタル・トークンはウィチャット・ペイやアリペイでも利用可能だと明かし、いくつかの点でリブラと似通った特徴を持つものだとも述べた。