23アンドミーがレイオフ、遺伝子検査ブームに陰り
23アンドミー(23andMe)はニュース専門放送局CNBCで、消費者直販型遺伝子検査の販売不振により、従業員100人をレイオフ(一時解雇)すると発表した。
「私たちにとって長い苦悩の道のりでした」。アン・ウォイッキCEO(最高経営責任者)はCNBCの取材にこう述べた。対象は23アンドミーの従業員のおよそ15%に相当するという。
数年前、遺伝子からユニークな洞察を得られると謳うテレビやインターネット広告によって、先祖や健康状態に関する情報を提供するDNA検査ブームは始まった。
2018年にはDNA検査を購入する人は倍増し、23アンドミーやアンセストリー(Ancestry)を含む民間企業のデータベースは、合計2600万人以上の規模にまで膨れ上がった。
だが、翌2019年には、99ドルの消費者直販型の遺伝子検査の売れ行きが大幅に落ち込んだことが明らかになっている。
MITテクノロジーレビューは、2019年における遺伝子検査大手の販売数を400万~600万と推定している。つまり、民間企業のDNAデータベースの規模は2019年はわずか20%しか成長しなかったということだ。昨年のDNA検査産業の成長率は史上最も低い水準となった。
消費者がこぞって遺伝子検査を購入しなくなった理由は不明だ。市場がすでに枯渇し、自らのルーツや薄毛になるリスクについて知りたい人がもはや多く残っていない可能性がある。
警察が犯罪捜査を目的に小規模な遺伝子データベースへのアクセスを開始したことから、自身のDNAデータのプライバシーが守られるかどうか、懸念を抱く人もいるかもしれない。
1600万人以上という最大規模のDNAデータベースを維持するアンセストリーは、販売の低迷に関する質問には回答しなかった。アンセストリーは昨年、一部のアナリストが「再検査」市場活性化の火付け役と見る、新しい健康サービスを導入。追加検査を購入するよう呼びかけている。