インド政府が今年89回目のネット遮断を実施、市民デモに対抗
市民権に関する新規定に抗議する市民の街頭デモを受け、インド政府は12月12日、アッサム州のインターネット接続を遮断した。国民を統制する手段としてインターネット接続を遮断するという、近年懸念が高まりつつある世界的な傾向における最新の事例だ。
インド政府は12月11日、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュから移住してきた少数派宗教信者(イスラム教徒を除く)に対し市民権獲得への道を開く、市民権修正法案を承認した。これに対し、隣国バングラデシュからの移民流入に長らく不満を抱いていたアッサム州では、法案可決に抗議するデモ隊が駅を焼き討ちした。政府は沈静化を図るために軍隊を派遣し、インターネット接続を遮断したとCNNが報じている。
インターネットによる世界の結び付きがますます強まる中、ネット接続遮断は抗議活動を封じ込めるための手段となっており、実際多くの人々が「政府による弾圧の決定的な手段の1つ」と見なしている。2016年、国連はインターネット接続の遮断を、基本的人権の侵害および表現の自由の侵害にあたるとする非難決議を採択。ロシアや中国、サウジアラビア、インドは決議の修正を提案していた。
インターネット接続の遮断は以前に増して一般的になりつつある。インド国内でのネット接続を中心に追跡している団体「インターネット・シャットダウンズ(Internet Shutdowns)」によると、活動を開始した2012年の遮断回数は3回だったのに対し、今年は89回。2018年の134回に次ぐ回数になっている。世界的にもこの数字は悪化しているようだ。2016年以降のインターネット遮断回数を追跡しているデジタル権利擁護団体「アクセス・ナウ(Access Now)」が発表した最新の2018年の報告書によれば、遮断回数は2016年の75回から、2018年には196回へと増加している。インドは中でも群を抜く回数でネット遮断を続けている。