人工知能で処理←実は人海戦術、偽AI企業が蔓延する理由
「人工知能(AI)」サービスを提供しているのが常にコンピューター・プログラムであるとは限らない。ときには、ただのありきたりな「人工ではない知能」が提供している場合だってあるのだ。
AIに何かをさせるには、データや時間、開発資金が大量に必要となることがある。つまり、最小限の使える製品(MVP)を完成させるには、多大な先行投資が必要なのだ。
安上がりな解決策はないだろうか? それは、人間を使うことだ。一部の企業は、AIと宣伝しているプログラムを、アルゴリズムをまったく使わずに、人の手で動かしている。
たとえば昨年、経費レポートを作成するアプリ「エクスペンシファイ(Expensify)」は、アマゾンのクラウドソーシング「メカニカル・ターク」にレシートの画像を投稿していた。ギグ・ワーカーに報酬を支払って、画像に含まれているデータを手作業で入力させていたのだ(同社は、独自のスマートスキャン・ソフトウェアを使って作業をしていたと主張していた)。 ほかにも、人間にチャットボットのふりをさせている企業もある。
AIの代わりに人間を使うことで、事業の新しいアイデアを、エンジニアリング資源を投入する前に試せる。しかし、顧客との信頼関係を築く面では得策とは言えない。メンタルヘルス支援チャットボットの企業、ウーボット・ラボ(Woebot Labs)の創業者兼社長であるアリソン・ダルシー博士は ガーディアン(Guardian)にこう話す。「AIに対しては警戒心がすでに大きくなっています。透明性が欠如していては、本当の会話の役には立ちません」。