中国のウイグル弾圧に米バイオ企業が加担、機器販売停止へ
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国は新彊(しんきょう)省のあちこちにはびこる監視プログラム構築のノウハウを米国から仕入れているという。
中国当局はウイグル民族を標的として「中国による大々的な監視・弾圧運動」を起こしている。標的となっているウイグル民族は、中国の北西地方に居住している少数民族で、大多数がイスラム教徒だ。 包括的なDNAデータベースが、当局にとって御しがたい集団をコントロールする計画の一部に使われている。
中国の警察と共に事に当たっている中国の科学者たちは、マサチューセッツにあるバイオテクノロジー・ツールの供給業者サーモ・フィッシャー(Thermo Fisher)から機器を入手して使用している。科学者らはまた、イェール大学の遺伝学者ケニス・キッド教授と遺伝子サーベイ調査のデータを共有していた。
遺伝子データは、ある人がウイグル民族を祖先に持つかどうかを血液サンプルから特定するために使われていた。中国の科学者たちはこのアイデアについて特許まで申請した。
サーモ・フィッシャーの中国における役割は、人権NGO(非政府組織)であるヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の報告のおかげで、このところ世に知られるようになった。昨年11月には、米上院議員のマルコ・ルビオがツイッターで、「 新彊当局が人々を大量拘禁するのに手を貸して大金を手に入れている」とサーモ・フィッシャーを非難した。
だが、ニューヨーク・タイムズ紙による綿密な調査ではじめて、サーモ・フィッシャーは屈したようだ。同紙によると、サーモ・フィッシャーは 2月20日、新彊における機器の販売を停止すると発表した。コメントの求めに対し、同社はただちに返答していない。
中国だけの問題ではない。遺伝子のプライバシー問題は米国内でも懸念されている。米国では遺伝子情報の民間データベースが、警察によって強姦犯や殺人犯の割り出しに使用されているのだ。理論上は、これらのツールもまた、民族プロファイリングに使われる可能性がある。