「殺人犯逮捕のために協力を」米DNA検査会社が批判逆手にテレビCM
米国でDNAデータベースを警察に利用させたことを批判されている遺伝子系図会社が、形勢を逆転しつつある。ファミリー・ツリーDNA(FamilyTreeDNA)はこのほど、消費者が犯罪者の逮捕に協力するよう強く促すテレビ広告を制作した。
サンディエゴで最初に放送されたファミリー・ツリーDNAのスポットCMでは、23アンドミー(23andMe)やアンセストリー・ドットコム(Ancestry.com)など他の消費者直販型DNA検査を受けたことがある人に対して、検査結果のコピーのアップロードを求めている。それによって、司法当局が犯罪現場で発見したDNAとの関連性を発見できるようになるというものだ。
CMの主役はエド・スマート。2002年に誘拐され、その後無事に保護されたソルトレイクシティ出身の当時10代の少女、エリザベス・スマートの父親である。「あなたがDNA検査を受けた数百万人のうちの1人であれば、あなたの助けが空白を埋めるミッシング・リンクになる可能性があります」とスマートはCMで語っている。
ファミリー・ツリーDNAは今年2月、DNAプロファイルが記録されている100万人を超える顧客のDNAと身元不明の犯罪者のDNAとの比較を、顧客に無断で米国連邦捜査局(FBI)に許可していたことを認めた。
一部批評家らは、顧客は捜査に同意していないと述べ、不当だと非難している。しかし、ファミリー・ツリーDNAのベネット・グリーンスパン創業者は、殺人や性的暴行の未解決事件の解決を助ける道義的責任を追うことを決心したという。グリーンスパン創業者はいまのところ、事件解決のためのDNA利用に顧客は同意してくれるとの見通しを持っている。
「系図コミュニティには、犯罪解決をクラウドソーシングする力があります」とグリーンスパン創業者はファミリー・ツリーDNAのプレスリリースで述べている。ただし、一連の取り組みが、ファミリー・ツリーDNAの事業(当局への遺伝子サービスの販売を含む)を後押しする可能性には言及していない。
1年前に「遺伝子系図探偵」が30年以上前の連続殺人犯を特定してから、DNA系図の利用により解決した事件の数は急増しており、迷宮入りかと思われた事件が警察によって毎週1、2件解決されている。