ハーバード大学とMITもオンライン講義に、新型コロナ対策で
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がボストンの生物医学コミュニティに広がる中、ハーバード大学はオンライン講義への移行を発表し、学生に対して春休み明けに大学へ戻らないよう呼びかけている。
ハーバード大学は3月23日までに講義をオンラインへ切り替える計画だ。同大学では3月14日から22日までが春休みだが、休み明け後も大学には戻らないよう学生に求めている(本記事の公開後、MIT=マサチューセッツ工科大学も同様の処置を発表した。MITの春休みは21日に始まるが、16日から20日までの講義は休講となる)。
ハーバード大学の学部生は6500人以上で、合計2万人以上の学生が在籍する。
「この数週間、いかに私たちが1人1人の人と繋がっているか、そして、いかに今日の選択によって明日の選択肢が決まるか、ということを改めて強く考えさせられました」と、ローレンス・バコウ学長は大学のWebサイトに掲載した声明で述べた。
ハーバード大学の措置は防疫当局の勧告とも「一致している」という。防疫当局はパンデミック(世界的大流行)のペースを遅らせるため、高齢者に対して旅行や他人との接触を避けるよう要請しており、その他の国民にも社会的距離を置くよう勧めている。
「この措置は、単に自分自身を守るためだけでなく、自分よりもこの病気に罹りやすい可能性がある他の人々やコミュニティを守るためでもあります」とバコウ学長は述べた。
通常の活動を制限する必要性はない、とのドナルド・トランプ大統領の声明とは対照的に、ハーバード大学の動きは米国の他の大学の閉鎖を促す可能性がある。
「昨年は、3万7000人の米国人が一般的なインフルエンザで死亡しました。平均すると、毎年2万7000人から7万人です。(それでも)何も閉鎖しないし、生活・経済は続いています。現在、確認されたコロナウイルスの症例は546件で、死亡者数は22人。考えてみてほしい!」。トランプ大統領は3月9日にこうツイートした。
ハーバード大学は、大規模な集会と濃厚接触を避けるのが狙いだと説明している。キャンパスは閉鎖せず、大学本部は業務を続ける予定だ。
科学への影響はどうだろうか? コロナウイルスのアウトブレイクに見舞われたマサチューセッツ州では、現在までに40人以上の感染者が確認されている。そのうちの多くは、バイオテクノロジー企業バイオジェン(Biogen)が先月開催したカンファレンスの関係者だった。
ハーバード大学の今回の措置が、新型コロナウイルス研究に関わる研究室を含む、同大の生物医学研究にどう影響を与えるかは現時点では明らかではない。