イーサリアム・クラシックに51%攻撃か?100万ドル流出の恐れ
大手暗号通貨取引所のコインベース(Coinbase)によると、イーサリアム・クラシック(ETC)のブロックチェーンに対して攻撃があり、ハッカーが他のユーザーから約110万ドル相当の暗号通貨を盗んだ可能性があるとしている。
イーサリアム・クラシックは、元々のイーサリアムのブロックチェーンである。2016年に起こった「ザ・ダオ(The DAO)」事件でハッカーによって5000万ドル相当のイーサリアムが盗まれたことを受けて、イーサリアムの開発者らは暗号通貨が盗まれなかったことにする新しいバージョンの取引履歴を作成した。それが現在のイーサリアムである。しかし、当時のイーサリアムのユーザー全員がそちらに乗り替えたわけではない。既存のブロックチェーンを利用し続けた人々がイーサリアム・クラシックのコミュニティを結成したのだ。イーサリアムの時価総額が155億ドルであるのに対し、イーサリアム・クラシックは約5億ドル。コインベースは昨年8月、イーサリアム・クラシックの売買を開始していた。
ブロックチェーンはハッキングされないと考えている人もいるかもしれないが、必ずしもそうではない。ビットコインをはじめ、イーサリアム、イーサリアム・クラシックおよび同様のブロックチェーン・ネットワークは、1人の「採掘者(マイナー)」がネットワーク全体の計算能力の過半数を手中に収めてしまう攻撃(「51%攻撃」と呼ばれる)に対しては脆弱だ。理論的には、暗号通貨を他のユーザーに支払った後、その支払いが決して発生しない代替バージョンのブロックチェーンを作成し、最終的にはその代替バージョンを正式なブロックチェーンにしてしまう詐欺行為が可能だ。コインベースは今回、イーサリアム・クラシックでこうしたことが起こったと述べている(「ブロックチェーンはなぜ安全と言えるのか?その理由を理解する」を参照)。
コインベースは1月5日に問題に気付くと直ちに、攻撃を受けたブロックチェーンとの「連携を一時停止」したと述べている。別の暗号通貨取引所であるクラーケン(Kraken)も取引を一時中断している。その一方で、イーサリアム・クラシックのツイッター・アカウントは、取引所に対して、新たな取引の確認にかける時間を「大幅に増やす」よう呼びかけている。今回の件については、おそらく続報がありそうだ。