グーグルが「ゲーム版ネットフリックス」でゲーム業界に殴り込み
伝統的な家庭用ゲーム機は終わりを迎えるのだろうか。グーグルが発表した新たなサービスは、これまでソフトをダウンロードしたりメディアを購入したりして遊ぶものだったビデオゲームを、ストリーミングで利用できるようにするものだ。
グーグルの発表によると、「スタディア(Stadia)」と呼ばれる新サービスは、テレビやノートパソコン、スマホなど、あらゆるデバイスで利用できる。最大で4K解像度/毎秒60フレーム、HDR表示、サラウンド出力に対応。クラウド経由で提供されるスタディアの処理能力は、PS4とXBox One Xを合わせたものを上回るという。グーグルはまた、ボタン1つでゲームのプレイをユーチューブに直接シェアできる専用コントローラーも発表した。ユーチューブでは毎日2億人がゲームコンテンツを視聴している。
グーグルはスタディアの価格をまだ発表していないが、2019年後半に米国、カナダ、英国、そして欧州のほとんどの国で発売する予定だ。
確かにこの「ゲーム版ネットフリックス」とも言えるアイデアには、大きな可能性がある。だからこそ、ソニーやマイクロソフトだけでなく、他の大手テック企業やゲーム会社は長年、ビデオゲームのストリーミング配信に取り組んできた。だが、その実現は想像以上に難しく、他社の挑戦は失敗に終わっている。たとえば、2003年にサービスを開始し、2015年にサービスを終えたクラウド・ゲームサービスの「オンライブ(OnLive)」は、ストレスを感じるほど速度が低かったことが原因で姿を消した。スタディアのコントローラーは、遅延を回避するため、サーバーに直接接続される。「ゲーム版ネットフリックス」というアイデアを実現できる企業があるとすれば、世界中に巨大なデータセンター・ネットワークを保有しているグーグルということになるだろう。
今回の発表に、家庭でゲームを楽しむ人たちは興奮したかもしれない。だが、グーグルの支配力がさらに1つの産業に及ぶことについて、ゲーム開発者らの心配はつきまとう。ストリーミングによって新たな種類のゲームが実現したり、膨大なコンテンツにアクセスしたりできるようになる可能性がある一方、グーグルが唯一の支配者になる未来にはいくらかの不安が残る。どんなゲームがスタディアに登場するのか、ゲームをプレイするために超高速のインターネット回線が必要なのかどうか、といったいくつかの疑問も残っている。