遺伝子検査で医療費は上昇するのか? 米病院が調査
ボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)の遺伝学者の調査によると、DNAの全塩基配列情報を読み出すゲノム・シーケンシングの検査を人々が受けても、短期的には医療費が大幅に増加することはないとわかった。
ゲノム・シーケンシング検査の費用が安くなり、より広い範囲の人々が利用できるようになってきた。そうした状況において、検査を受けた人々が医療サービスをさらに使うようになるのかどうかが主な関心事になっている。健康な人に遺伝子検査の詳細な結果を見せることで、本来であれば求めないような、そして必要ないかもしれない医療検査、スクリーニング検査、予防措置を求めるようになりかねないからだ。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究チームは、既知の心臓疾患を持つ100人の患者のうち、ゲノム・シーケンシング検査を受けた患者の6カ月にわたる平均医療費は8109ドル、受けなかった患者の平均医療費は9670ドルであったことを見い出した。「表向きは健康」であった100人のプライマリ・ケア患者に関しては、検査を受けたグループの平均医療費は3670ドルで、受けなかったグループの2989ドルに比べてわずかに高かった。研究チームは、人によって医療費が大きく異なっていたため、これらの違いは統計的に有意ではなかったと述べている。
今回の報告について注意すべき点は、同研究チームが6カ月間にわたる医療費だけを対象としたことだ。これはゲノム・シーケンシング検査が長期的に医療費にどう影響するかを把握するには短か過ぎるかもしれない。