ロシア人ハッカー集団がオランダで逮捕、駐車場からWi-Fi侵入
ロシア人ハッカーが、オランダに拠点を置く化学兵器禁止機関(OPCW)にサイバー攻撃をしかけようとしたとして拘束された。
オランダの情報機関は、OPCWへのハッキングを試みたロシア人4人を追放した。4人を拘束した当時、OPCWは英国に亡命したロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリとその娘に対するロシアによる神経ガス攻撃事件を捜査していた。また、ロシアは関与を否定しているが、シリアの化学攻撃の疑いについても捜査を進めていた。
たいていの場合、国家主導のハッカーに責任を負わせることは難しい。彼らは遠隔地からサイバー攻撃を実行し、オンライン上の痕跡を消すからだ。しかし、今回は違った。 拘束されたロシア人ハッカーは、OPCW事務所に隣接するホテルの駐車場に停めていた車内で逮捕されたのだ。車内には、OPCWのWi-Fiネットワークに侵入するために作られた装備が積み込まれていた。さらに、オランダ当局は、ハッカーが所持していた、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のモスクワ本部付近で電源を入れた形跡のある携帯電話も発見している。
車内で見つかったノートパソコンの1台には、2014年にウクライナの反政府武装勢力が支配する地域上空でマレーシア航空MH17便が撃墜され多数の死者を出した事件の捜査の攻撃のために、マレーシア国内で使用された形跡が残っていた。ロシアは、同機を撃墜するための兵器類を供給した疑いを持たれている。
マレーシアで使用されたノートパソコンは、スイスでも使用されていた。オランダ当局は、同一のパソコンが、モントリオールにある世界アンチ・ドーピング機関(WADA)所有のノートパソコンへのハッキングに関係していると述べている。WADAは、競技能力向上のためにロシア人運動選手たちが禁止薬物を使った事実を暴いている。
英国政府は主だった多くのサイバー攻撃の背後にGRUがいると非難しており、その中には米国の民主党や英国のテレビ局、WADAを標的にしていたという。
米国や英国、他の国々が、敵対的国家によるハッキングに対抗するために、自国の攻撃的なサイバー作戦を発動する準備を整えているとき、このような攻撃が発生している。先ごろMITテクノロジーレビューが主張したように、壊滅的な結果を招きかねないサイバー空間での高まる緊張に対処するために、新たな外交圧力が早急に必要だ。