フェイスブック、暗号通貨の新規発行へ向け交換所と交渉か
ニューヨーク・タイムズ紙の新しい記事は、フェイスブックの謎に包まれたブロックチェーン・プロジェクトに関する新たな詳細情報を明らかにし、プロジェクトの実現は間近かもしれないと指摘している。だが、まだ明らかにされたことよりも疑問の方がはるかに多い。
ブルームバーグは、フェイスブックがいわゆるステーブルコイン(安定通貨)を開発していると2018年12月に報じた。ステーブルコインとは、通貨の価値が従来の通貨(多くの場合は米ドル)に連動しているデジタル通貨だ。プロジェクトに詳しい5人の人物が、最初の製品はステーブルコインになる可能性が高いと語ったというニューヨーク・タイムズ紙の記事はそのことを証明しているようだ。フェイスブックが自社の銀行口座に保管されているドル、ユーロその他の国の通貨を担保にすることによって、通貨の価値を保証できることは明らかだ。同紙によれば、フェイスブックはすでに消費者向けコインの参入を複数の通貨取引所と交渉中だという。
ブルームバーグの以前の報道では、フェイスブックのメッセージング・サービス、ワッツアップ(Whatsapp)の利用者がフェイスブックのコインを利用して自分の連絡先にコインを送金できるようになると指摘していた。タイムズ紙は、フェイスブックがワッツアップ、フェイスブック・メッセンジャー、インスタグラムを接続するためにメッセージング・インフラを整備中だと述べている。そうなれば理屈の上では、これら3つのアプリの少なくとも1つを使用している月間27億人の利用者がデジタル・コインにアクセスできるようになる。
しかし、多くの疑問がある。このコインは本当にブロックチェーン上で運用されるのか? そうだとすれば、フェイスブックは台帳をどこまでコントロールできるのか? どうやって収益を上げながら、犯罪者の悪用を阻止するのか? そして、どうやってユーザーのプライバシーに対処するのか? ニューヨーク・タイムズ紙は、ビットコインや同様の通貨が使用している大量にエネルギーを消費する採掘プロセスに依存しないシステム設計をフェイスブックが検討していることをに示唆している。フェイスブックは何を代替テクノロジーとして使うのだろうか?
だが少なくとも1つ、はっきりしていることがある。支配的なテック企業が法定通貨で裏付けされたデジタルコインを立ち上げるという話は、大勢のブロックチェーン愛好家が描いてきた、「非中央集権化」された未来とは似ても似つかないことだ。