トランプ陣営がデータ不正入手か、フェイスブックが利用を停止
トランプ大統領の選挙キャンペーンにデータを提供していた選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)のフェイスブック・アカウントが停止された。
フェイスブックの副法律顧問は、3月16日遅くにフェイスブックのニュースルームに公開された投稿で、 英国を拠点とする軍事データ分析企業ストラテジック・コミュニケーション・ラボラトリーズ(SCL)とその政治データ部門であるケンブリッジ・アナリティカに対して、フェイスブックの利用を一時停止したと発表した。
フェイスブックによると、英国ケンブリッジ大学のアレクサンドル・ コーガン教授(心理学)は約27万人が利用したフェイスブック上のアプリを通じてさまざまな個人データを収集していたという。アプリは心理学の研究アプリという名目で、フェイスブック利用者に対し、好きなコンテンツやプロフィールに掲載した居住地などの情報の共有を求めていた。
コーガン教授は規約に違反して、収集したデータをSCL/ケンブリッジ・アナリティカとコンサルティング会社ユーノイア・テクノロジー(Eunoia Technologies)のクリストファー・ワイリーに渡していたという。2015年に事態を把握したフェイスブックは該当アプリを削除。コーガン教授とSCL/ケンブリッジ・アナリティカ、ワイリーに対して収集したデータの破棄を求め、関係者らはすべてのデータを破棄したと述べていた。
だが今回の発表によると、フェイスブックは最近になって、消去されていないデータがあるとの複数の通報を受けたという。フェイスブックは通報を現在調査しており、より詳しい情報が得られるまでコーガン教授、ワイリー、SCL/ケンブリッジ・アナリティカのアカウントを凍結するとしている。
問題はまだある。3月17日、ニューヨーク・タイムズは、ケンブリッジ・アナリティカは、フェイスブックのプロフィールから5000万件を超える個人情報を無断で収集していたと報じ、「フェイスブック史上最大のデータ漏えいの1つ」としている。記事はワイリーへの取材を含む、社内文書や元従業員の発言を引用している。
2016年の米国大統領選中、政治的主張を伝えるターゲティングのためにソーシャル・メディア・プラットホームを利用することは多くの論争を引き起こした。今回のフェイスブックの動きは、世論操作のためにフェイスブックが利用されたという非難を、フェイスブックが深刻に受け止めているサインと見られる。だが同時に、フェイスブックが知らない間に他のデータが漏えいしていたかもしれない、との疑念ももたらしている。