フェイスブックの差別的なターゲティング広告、いまだ出稿可能
何カ月も前に解決すると約束したにも関わらず、フェイスブックの広告システムは相変わらず広告主が差別禁止法に抵触しかねない方法でターゲティングできるようになっている。
非営利・独立系報道機関のプロパブリカ(ProPublica)はこの問題に1年以上取り組んできた。最初の調査では、フェイスブックに出稿しようとしたプロパブリカの記者は、アフリカ系アメリカ人、アジア系アメリカ人、ヒスパニック系に「親和性」のある人への表示を止めることができた。これは恐らく米国の公正住宅法に違反する。公正住宅法は、住宅を販売、賃貸する際に、ある特定の人種や出身国などによる差別を禁止する法律だ。これに対して2月、フェイスブックは差別禁止の取り組みを発表し、その中には問題のある広告を見分ける自動システムも含まれていた。
11月第4週に発表されたプロパブリカの新しい記事によると、状況はあまり変わっていないようだ。調査した記者によると、「アフリカ系アメリカ人、高校生の子を持つ母親、車椅子用スロープに興味のある人、ユダヤ人、アルゼンチン人移民、スペイン語を話す人」に対して広告の配信を停止できたという。これらは全員、公正住宅法で保護される人たちである。
今回の調査結果は、フェイスブックの広告ターゲット・システムに対して繰り返し指摘されている問題でもある。周知の通り、2016年の大統領選挙を揺るがした、何百万人もの米国人に対する政治的な広告はロシアが出稿した。さらにプロパブリカの調査によると、「ユダヤ人を嫌悪する」人を対象に広告を出せることも最近明らかになっている。
フェイスブックは、差別を防止する自動システムがどのように機能するか、詳細を説明していない。広告ターゲット・システムには機械学習アルゴリズムが含まれていて、時間が経過すれば改善されるはずだ、と説明するだけだ。もし広告が承認されなければ、人による審査を求める選択肢もあるが、フェイスブックの機械学習アルゴリズムはプロパブリカが申請した広告をすべて許可している。どうやら、フェイスブックはどのような技術を使っても、広告主がどのように広告プラットフォームを使用(あるいは誤用)するかを取り締まれるわけではないようだ。