フェイスブックが乱射事件の動画150万本を削除も、止まらない拡散
フェイスブックやユーチューブ、ツイッターがニュージーランドの銃乱射事件に関連した動画や静止画を削除する大規模な取り組みは、人々による恐ろしいコンテンツの拡散を食い止めるのがいかに難しいかを示している。
フェイスブックは、クライストチャーチにある2つのモスクで銃を乱射し、50人を死亡させた男が撮影した動画のコピー150万本について、事件発生から24時間以内に削除したと発表した。そのうち120万本はアップロード中にブロックし、フェイスブックには掲載されなかったという。ユーチューブやツイッターは現時点で削除した本数を発表していない。
銃を乱射した男はフェイスブックで事件の模様を17分間に渡ってライブ配信し、動画はすぐにフェイスブックやその他のプラットホームに再投稿された。フェイスブックなどの努力にもかかわらず、撮影された動画の静止画バージョンはいまでもオンライン上で閲覧できる状況だ。
この非道な事件の発生を受け、ソーシャルメディア企業に対して方針の変更を求める声が強くなっている。だが、それが実際に何を意味しているのかは必ずしもはっきりしない。ブルームバーグの報道によれば、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相はライブ配信を巡ってフェイスブックとの話し合いを求めているが、具体的に何かを要求しているわけではない。
フェイスブックのアレックス・スタモフ前CSO(最高セキュリティ責任者)によれば、問題は単に情報が急速に拡散することだけではないという。自由な社会での人々のデータのやり取りを大手テック企業が管理することは、私たちが考えているよりもはるかに難しい。構造的な問題もある。ソーシャル・プラットホームは、そもそも自らをコンテンツの裁定者だとは考えないことが多い。そして、おそらく、もっと根深い問題は、プラットフォームに裁定者になってもらいたいと私たちが本当に望んでいるかである。