地図不要で「ほぼ最短」ルートを移動、FBが新アルゴリズム
不慣れな環境でも最短のルートを見付け、自宅や職場で働くロボットへの道が開かれる。そんなアルゴリズムが開発された。
開発したのは、フェイスブック人工知能(AI)のチーム。同チームは、ロボットが不慣れな環境でも地図を使わずに道を探せる強化学習アルゴリズムを開発した。深度センサー・カメラ、GPS、コンパス・データだけを使用するこのアルゴリズムは、最短ルートを移動したときとほぼ同じ時間内にロボットを目的地へ99.9%導く。間違った方向に進んだり、後戻りしたり、あちこち探索したりすることはない。これまでのアルゴリズムよりも大きな改善だ。
地図を使わずに経路を検索する技術は、自律型配達ドローンなどの次世代ロボットや、自宅や職場で働くロボットに必要不可欠なものだ。ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)が開発した「スポット(Spot)」「アトラス(Atlas)」や、アジリティ・ロボティクス(Agility Robotics)の「ディジット(Digit)」など、上手くバランスをとったり障害物を避けたりするロボットには多数のセンサーが搭載されている。だが、見知らぬ街角でロボットを降ろして、単独で家まで帰らせようとすれば、ロボットは戸惑うだろう。フェイスブックのアルゴリズムは外部環境の処理にはまだ対応していないものの、そうした方向への有望な一歩を踏み出しており、おそらく都市空間にも適応できるだろう。
フェイスブックは、いくつもの部屋や廊下、家具を含む建物内部のリアルなバーチャル模型「AIハビタット(AI Habitat)」でボットを3日間訓練した。その間、ボットは人間なら80年分に相当する25億歩を歩いた。他社は同様のタスクでボットを訓練するのに1カ月かそれ以上かかることもある。だが、フェイスブックはボットのグループの中から訓練効果が表れるのが最も遅いものを選別し、より速いボットが各回のゴールラインで待たなくてもいいようにして、訓練の大幅なスピードアップを図った。
いつものように、AIがどのように進路の決め方を学習したのか、はっきり分かっていない。しかし、人間が設計した環境の内部構造のパターンにAIが気付いたと考えるのが妥当なようだ。フェイスブックは現在、ロコボット(LoCoBot)というロボットを使って実際の物理空間でアルゴリズムをテストしている。