自社CEOのフェイク映像も削除せず フェイスブックが新方針
ディープフェイクに対するフェイスブックの新たな方針は、削除せずに偽物だと知らせることのようだ。
今週に入って、フェイスブックのCEO(最高経営責任者)であるマーク・ザッカーバーグのディープフェイク映像がフェイスブック子会社のインスタグラムにアップロードされた。映像の中でザッカーバーグCEOは、「何十億人から盗んだデータ、彼ら全員の秘密や生活、未来すべてを完全に掌握している男」であることについて話している。このフェイク映像は、2016年の大統領選におけるロシアの干渉についてザッカーバーグが話している2年前の映像(こちらで閲覧可能)を利用して制作された。
この映像は、アーティストのビル・ポスターとダニエル・ハウが英国を本拠にする広告会社であるキャニィ(Canny)と提携して制作した。6月6日から11日にかけて英国で開催されたシェフィールド・ドキュメンタリー映画祭(Sheffield Documentary Festival)の展示会、スペクター(Spectre)向けに制作された作品の1つだ。
フェイスブックは先週、手を加えて酔ったように見せたナンシー・ペロシ米国下院議長の映像を削除しない決定を下した(もっとも、深層学習の手法を使って作られていないので、技術的にはディープフェイクではないが)。その代わり、第三者の事実確認者が偽物だと認めた場合は、いくつか注意書きを加えてユーザーに伝え、ニュースフィードのランクを下げることにしている、とフェイスブックは述べている。これがフェイスブックの新たなルールのようだ。つまり、手を加えた映像は削除しないが、本物ではないことを明確にしておくというわけだ。
いまや誰でも手軽かつ短時間でフェイク画像を作って広められるということは憂慮すべき事態であり、政策立案者はますますこの問題に注目し始めている。米国議会は6月13日に、ディープフェイクについて初の聴聞会を開き、イベット・クラーク下院議員は、ディープフェイクの取り締りを試みる法案を提出する予定だ。