感情認識技術の使用は即刻中止すべき、米AIナウが報告
感情認識技術に科学的根拠はほとんどなく、人々の人生に影響するような判断に使うのは禁止すべきだ——。AIナウ(AI Now)研究所は年次報告書でこう指摘している。
感情認識技術の市場は活況を呈している。機械が人間の感情を理解できるという根拠がないにもかかわらず、市場は少なくとも200億ドル規模になると予測され、急速に成長している。同技術は現在、就職希望者や犯罪容疑者の評価に使用されており、ゲーマーの心理状態を推論するためのVR(実質現実)ゴーグルといったさらに進んだ適用も試みられている。
さらなる問題として、感情認識は人種や男女の格差を拡大する場合があるという証拠もある。AIナウの報告書は、規制当局者が介入して感情認識技術の使用を厳しく制限すべきであり、それまではAI関連会社は同技術の採用を中止するべきだと記している。特に、顔の表情だけを利用して人がどう感じているかを正確に知るのは非常に難しいと結論付けた科学的心理学会の最近の研究を引用した。同学会は、この結論を得るために、感情検出についての1000本の論文を2年間かけて評価した。
報告書の中でAIナウは、リスクが適切に調査されるまで、機微なアプリケーションに顔認識技術を取り入れるのは止めるべきだ、と政府と企業に呼びかけ、AI産業の「組織的な人種差別、女性蔑視、多様性の欠如」を批判。さらに、AI産業が環境に及ぼす影響について開示するよう義務付けることを提言している。