電気インプラントで歩行機能を回復、米メイヨー・クリニック
事故で歩行困難になった人の脊髄を電気的に刺激することで、再び歩けるようになる——。その可能性を示す2つの新たな報告が発表された。
麻痺状態は、事故によって脊髄が負傷したり切断されたりしたことが原因で発生する。医師らが実施しているのが、損傷部位の下に電気刺激装置を埋め込むことで、歩行能力を回復できるかどうか、という試験である。
メイヨー・クリニックの研究者らによると、2013年にスノーモービルに乗っていた時の事故で腰の部分が麻痺状態となったジェレッド・チンノックが、補助を受けながら約100メートルの距離を歩くことができたという。メイヨー・クリニックはこの結果をネイチャー・メディシン(Nature Medicine)で報告し、映像を提供している。
今回の電気インプラントは患者にどのように機能しているのだろうか? 電気ショックが脳から来る神経信号の欠損部分の代わりを務めているのは間違いないが、全容は分かっていない。他にも4つの事例を、ルイビル大学の医師らがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)で報告している。患者のうち数人は、帰宅して歩行器を使って歩き回っているという。
将来、脊柱に損傷を負った患者が、脊柱内の刺激装置に接続する脳インプラント施術を受けることで、脳と体の接続を回復し、滑らかな動きを取り戻せるかもしれない。この種の脳と機械を接続するインターフェイスは、すでにサルで試されて成功している。