火災現場でも近距離撮影、300℃の耐火型ドローン
人間には難しい場所にも空から近づけるのは、ドローンの大きな魅力だ。その活躍が期待される場所の1つが、災害現場だろう。消防庁は、消防防災分野におけるドローンの活用に積極的に取り組む姿勢を見せている。
火災現場でのドローン活用を考えるときの課題の1つが、機体の耐火性能だ。一般的なドローンは約40℃前後の熱でコントロールを失うため、火災現場では上空50m前後からの遠距離空撮が限界とされてきた。
産業用ドローンの開発・製造を手がけるエンルートは、マグネシウムやチタンなどの金属を使用して耐熱塗装を施すことで、300℃の高温環境下でも1分間の連続運用が可能なドローンを開発した。火元の上空5mから10mまでの近距離空撮を実現する。熱源をより詳細に把握するために赤外線カメラを追加搭載することもでき、煙などで遠方から目視できない現場でも自律航行によって撮影を続行するという。
300℃という耐火性能は、防火服の耐火性能(260℃)を参考に設定されている。具体的な用途として、はしご車が侵入困難な狭い道路などにおける資機材の配置確認、ビルや工場内での要救助者の救出ルート確認、延焼状況の把握、消火活動後の再燃防止が検討されている。エンルートは消防機関を中心に2019年10月から受注販売を始める予定だという。