コンゴでエボラ熱流行の兆し、未認可ワクチン投与へ
保健衛生当局は、エボラ出血熱のアウトブレイクを初期段階で食い止めるために、今回初めて実験段階のワクチンを使用する。2014年と2015年にギニア、リベリア、シエラレオネで起こった前回のアウトブレイクでは、およそ2万9000人が感染し、1万1300人以上が死亡した。
最新の統計では、コンゴ民主共和国において4月4日から5月13日までの間に、42人がエボラ出血熱を発症し、うち23人が死亡したと世界保健機関(WHO)が報告している。
今回使用するワクチンは、メルク(Merck)が製造するものだ。人体には害のない動物性ウィルスを使用して、エボラ蛋白質を作り出す遺伝子を運ばせる。今回のワクチンをはじめ、エボラ出血熱用の医薬品やワクチンはどれも、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局による認可がまだ下りていない。
MITテクノロジーレビューがWHOに確認したところ、5月16日に4300回分のワクチンが、コンゴ民主共和国の首都キンシャサに到着した(上の写真)。もう4000回分のワクチンが数日後に送付され、必要に応じてさらに追加分が届けられるという。
2015年に西アフリカにおいてメルク製ワクチンの治験をした時は、病気の流行の拡大を防ぐのに100%の効果があるように思われた。しかしその時点では当地のアウトブレイクはすでに下火になりつつあった。公衆衛生関係者は、今回こそはこのワクチンで、人命を奪うウィルスを即刻撲滅させたいと考えている。