気候変動が長期リスクの首位に、ダボス会議を前にWEFが報告
世界の政治やビジネスのトップ・リーダーを招いて開催する年次総会に先立ち、世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)は毎年、世界が直面するリスクについて詳細な報告書を発表している。今年は、2006年に最初の報告書が発表されて以来初めて、気候変動が最大の懸案事項に位置づけられた。
報告書で明らかになった主な懸念は、気候変動の緩和や適応の失敗だ。報告書の調査に協力した有識者ら750人が挙げた、世界が直面する脅威のトップ10のうち1つを除くすべてが気候変動に関係するものだった(例外は大量破壊兵器)。具体的には、今後10年間で高まる危惧として、自然災害、生物多様性の喪失、水不足などが挙げられている。
なぜ、いまのか? 気候変動そのもののニュースは多くはない。だが、オーストラリアやアマゾンでは火災が猛威を振るい、2019年には地球温暖化の影響は無視するのがさらに難しくなった。2018年末には、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC) が、猛暑、干ばつ、洪水を避けるために、以前に合意した2℃未満ではなく、1.5℃に温暖化を抑える必要があると警告している。これを達成するには、人類に起因する二酸化炭素の排出量を、2030年までに2010年の半分にまで減らさなければならない。だが、このシナリオは現在のところ実現しそうもない。
WEFの報告書ではこのほか、国内政治の二極化に加えて、景気の低迷が最大の短期的リスクとして挙げられた。大規模で影響の大きいインフラへのサイバー攻撃も脅威だとしている。