NASA月着陸船開発、ジェフ・ベゾスが有力4社で企業連合
ブルー・オリジン(Blue Origin)創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは10月22日、2024年までに宇宙飛行士を月に送り込む米国航空宇宙局(NASA)の計画を支援する月着陸船の設計および開発のために、主要な航空宇宙企業3社と提携すると発表した。
新たな合意に基づき、ブルー・オリジンはロッキード・マーティン(Lockheed Martin)、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、ドレイパー研究所(Draper)の3社と協力し、有人月着陸船システムの構築のためのあらゆる重要な要素を開発する。複数の大手ライバル企業を1つの強力な入札者としてまとめ上げたこの企業連合は、NASAのアルテミス(Artemis)計画の月着陸船契約の入札に臨む。 特にロッキード・マーティンとブルー・オリジンの両社は、独自の月着陸船の設計において大きくリードしている。ロッキード・マーティンは4月にコンセプトを明らかにし、その1カ月後、ブルー・オリジンはブルー・ムーン(Blue Moon)を発表している。
企業連合の事業主体となるブルー・オリジンは、1万ポンドの推力を持つ同社の新しいBE-7エンジンを使った月着陸船ブルー・ムーンの建造を推進する。だが、宇宙飛行士のミッションに対応するためにはブルー・ムーンをまだ大きく変更する必要がある。
ロッキードは、月面から宇宙飛行士を宇宙空間へ戻す上昇段のモジュールを構築する。企業連合によれば、着陸船は再利用が可能で、ロッキードは着陸船を操縦するチームの訓練と指導も担当する予定だ。
ノースロップ・グラマンは、NASAのゲートウェイ(Gateway)プラットホームと呼ばれる新しい月軌道宇宙ステーションから宇宙飛行士とあらゆる必要不可欠な構造物を載せて輸送する移送手段を提供する予定だ。ゲートウェイ・プラットホームは、ブルー・ムーンが下降できる月面にかなり近い、月軌道に位置する見込みだ。おそらくこの移送手段は、同社のシグナス(Cygnus)宇宙貨物船をベースとしたものになるだろう。
ドレーパー研究所は、実際にブルー・ムーンを安全に月面に着陸させるための降下誘導と航空電子工学ソフトウェアの開発を指揮する。
この着陸船システムは、ブルー ・オリジンのニュー・グレン(New Glenn)ロケットの活用を前提としているが、他のロケットでの飛行も可能だ。着陸船システムを月に送り込むために複数回の打ち上げが必要なのか、ゲートウェイ・プラットホームとどれだけ広範囲に連携するかについては、まだ明確ではない。
月着陸船の提案書をNASAに提出する期限は11月1日だ。どこが選ばれたとしても、急ぐ必要がある。アルテミス計画に必要なほぼすべての重要なハードウェアの開発が、予定よりも遅れているからだ。2024年に計画されているミッションを前に、無人での月面着陸を試す時間はすでに残されていない。