ロシアのソユーズが打ち上げ失敗、今後の宇宙計画にも影響
10月11日、ロシアのソユーズ・ロケットが打ち上げに失敗した。国際宇宙ステーション(ISS)に向けて飛び立った2人の宇宙飛行士はミッションを中止し、カザフスタンに不時着した。2人にけがは無かった。
米航空宇宙局(NASA)によると、1段目ロケットのブースター分離時に問題が発生したため、乗組員はロケットを脱出し、地上に戻ることを余儀なくされたという。乗組員は、通常の着陸角度よりも鋭角に進入する「弾道降下モード」で地球に帰還した。今回の打ち上げは、米国人のニック・ヘイグ宇宙飛行士にとって初めての宇宙飛行となるはずだった。ヘイグ宇宙飛行士と同乗のロシア人のアレクセイ・オフチニン宇宙飛行士の健康状態は良好とのことだ。
ソユーズのブースターに関する主なトラブルは、打ち上げ直前に発射台でブースターが爆発し、宇宙飛行士が緊急脱出した1983年9月の事故以来。CBSの報道によると、このほかソユーズが打ち上げに失敗したのは、1975年のモンゴルでの事故だけだという。
ロシアの宇宙機関であるロスコスモス(Roscosmos)は今後、打ち上げ失敗の原因を調査する予定だが、NASAの計画にも連鎖的に影響を与える可能性がある。
NASAの超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS:Space Launch System)」は、米国の有人宇宙船「オリオン(Orion)」を月周辺まで送り込む計画だったが、計画は繰り返し延期されてきた。当初の打ち上げ予定は2017年12月だったが、2020年中頃に延期され、さらにまたずれ込む見込みだ。SLSが打ち上げられるまで、NASAはISSへの物資供給をロシアのソユーズに依存せざるを得ないが、ロスコスモスが今回の原因を究明するまで、ソユーズのミッションもすべて中止になるだろう。