米証券取引委員会がICOに停止命令、証券とみなす例を再確認
米国証券取引委員会(SEC)は、12月11日、2回目となる新規仮想通貨公開(ICO)の停止命令を発表した。SECが前回ICOを停止させてから、1週間も経っていない。それから数時間後、SECのジェイ・クレイトン委員長は長い声明文を出し、議論の的となっている新しい資金調達方法に関する自身の見解を表明した。
クレイトン委員長(上の写真)は声明の中で、投資家は仮想通貨やICOに対して慎重に、デューデリジェンス(適正評価手続)を行なうよう促している。一方で、すべてのトークン(代用通貨)が必ずしも有価証券と見なされるわけではなく、SECの管轄外の可能性があるとも言及している(「
11日に出されたICOの停止命令は、ブロックチェーンを基盤としたレストラン評価サービスを構築するための資金調達を計画していた「マンチー(Munchee)」に向けられたものだった。マンチーはトークンで調達した資金で、自社や他社が商品やサービスを購入するためのネットワークを構築するとしていた。トークンはレビュー執筆者の報酬、ユーザーのアプリ内課金、飲食店の広告出稿料としても使われるはずだったが、SECはそれをよしとせず、マンチーが未登録の有価証券を販売していると主張。マンチーやそのプロモーター(勧誘者)が、流通市場取引でのトークンの値上がりを匂わせる声明を出したタイミングで、SECは「一線を越えた」と判断した。
クレイトン委員長は一例として、こんな説明をしている。「『ブック・オブ・ザ・マンスクラブ』(有料会員になると毎月、団体が推奨する本を安価に買える任意団体のこと)への参加する権利を表すようなトークンであれば、証券取引法に違反しません。クラブ運営者にとって、トークンは将来の書籍購入のための資金を確保し、参加者に本を配布する効率的な手段となるでしょう」。しかし、ICOの多くは「作家もおらず、書籍もなく、配本ネットワークも未整備の、これから設立される出版社の権利のようなものです」と委員長はいう。往々にしてプロモーターは、「他者の努力によって」トークンから収益が得られると投資家に信じ込ませようとする。「他者の努力」によって利益を得られることは、有価証券を定義する「重要な要素」になると委員長は述べている。