天文学者も見逃していた恒星系8番目の惑星をグーグルのAIが発見
恒星が発する光を計測し、銀河系の遠く離れた場所にある惑星を探索するケプラー宇宙望遠鏡は、2009年の打ち上げ以降、3万を超える兆候を発見してきた。天文学者たちはケプラー宇宙望遠鏡と他の望遠鏡の観測データを精査して、同宇宙望遠鏡での観測以前から知られていた329個に加えて3500個以上もの惑星を発見した。
そして今、人工知能(AI)がさらなる発見を後押ししている。
グーグルとテキサス大学(テキサス州オースティン)の研究者たちは12月14日に、機械学習アルゴリズムを利用して2つの惑星、ケプラー80gとケプラー90iを新たに発見したと発表した。ケプラー90iの発見は特に重要なものだ。ケプラー90iは恒星「ケプラー90」を周回する8つめの惑星であり、太陽系以外で8つの惑星を持つことが初めて確認された惑星系となるからだ。
惑星を探し出すために、研究者たちは米航空宇宙局(NASA)によって提供されたケプラー宇宙望遠鏡の観測データからラベル付けされた1万5000個の兆候を用いて、何が惑星であり、何がそうでないかを認識するようにアルゴリズムを訓練した。 訓練後のテストでこのアルゴリズムは、惑星の存在を示している兆候とそうでない兆候を、96%の確率で正しく識別できた。
テストが成功した後、研究者たちは惑星を持つことがすでに知られていた670個の恒星に焦点を絞って、兆候を探した。その結果、以前の調査では見逃されていた2つの惑星を発見した。
「まるで干し草の山に紛れた針を探すような作業です」。グーグルのAI研究部門であるグーグル・ブレインの上級エンジニアで、研究者の一人としてこのプロジェクトに携わったクリス・シャルーは、今回の惑星発見に関する電話会見の中で語った。
研究者たちが調査に取り組む上でAIを武器にできるようになったのは喜ばしいことである。なぜなら、調べるべきデータはまだまだ大量にあるからだ。4年間の初期観測の間に、ケプラー宇宙望遠鏡は20万個の恒星を観測し、その過程で約140億ものデータポイントを生成した。シャルー上級エンジニアは、こうした膨大な量のデータにこのアルゴリズムを適用することで、地球に類似した条件のものも含めて、さらに多くの惑星を発見できる見込みがあると述べた。