アップルがiPhoneのロック機能を強化、捜査当局との論争が再燃か
アップルの措置はプライバシー擁護派にとっては勝利だが、司法当局を激怒させることは必至だ。ロックのかかかった電話機から情報を取り出すことが、以前にも増して困難になったからだ。
アップルはiPhoneユーザーに、操作がロックされてから1時間後に本体の充電・データポートの利用を無効にするソフトウェア・アップデートを配信する予定だ。充電時はこれまで通りパスワードを入力する必要はないが、充電・データポート経由でスマホからデータを取り出す際にはパスワードが必要になる。
アップルには容疑者逮捕につながる可能性があったとしても、ユーザーのiPhoneのロック解除への協力を強制する司法当局からの要請を拒み続けてきた歴史がある。カリフォルニア州サンバーナディーノで14人が殺害され、22人が負傷した2015年の銃乱射事件のケースでは、サイード・リズワン容疑者とその妻が使用していたスマホのロック解除を求めた米国連邦捜査局(FBI)からの要請をアップルは拒否している。
FBIおよび他の司法当局機関は、グレイシフト(Grayshift) やセルブライト(Cellebrite)といった、ロックされたiPhoneからデータを取り出す専門会社に依頼し、アップルを介さずにデータを取り出した。グレイシフトやセルブライトのような企業が一般的に使用する方法は、iPhoneの充電ポートに接続し、ソフトウェアを使用してロックを解除するやり方だ。この方法は、アップルによるソフトウェア・アップデートによって無効になる。
iPhone ユーザーにとっては、今回のアップデートをインストールすることで、スマホから無理やりデータを抜き取られる脆弱性がなくなることになる。
あなたのユーザー・プライバシーに関する考え方や状況によって、今回の動きは良い方にも悪い方にも働く可能性がある。テック企業、特に世界の電話機の大半で使われているソフトウェアを提供するアップルやグーグルが、捜査のために警察に協力すべきか否かの議論を再燃させることは確実だ。