NBAのスター選手、3年契約をトークン化して「前借り」
NBA(全米プロバスケットボール協会)のブルックリン・ネッツでガードとして活躍しているスペンサー・ディンウィディー選手は、自身の契約を「トークン化」するプロアスリート第1号になるかもしれない。
バスケットボールや他のプロのスター選手はチームと複数年契約を結び、毎年一定額の年俸を受け取るのが一般的だ。ディンウィディー選手は3年で3436万ドルの契約をトークン化して売り出すことで、3年を待たずに前もって契約金全額を得たい考えだ。
ディンウィディー選手は90トークンを1トークンあたり15万ドルで適格投資家に販売する計画を立てている。1年後、トークンは取引が可能になる。フォーブス誌によると、このデジタル証券は1カ月あたり4.95%の配当を支払う予定で、2023年に満期を迎えるという。ディンウィディー選手によると、法律顧問とともに作ったこの仕組みは、他の選手も利用できるとのことだ。
ディンウィディー選手は1月10日、NBA側との数カ月間におよぶ交渉を経て、13日にこのデジタル金融商品をローンチするとツイートした。当初ディンウィディー選手は昨年9月に計画を発表していた。だが、ディンウィディー選手の契約に基づくブロックチェーンベースの「トークン化された証券」の発行について、NBAはNBA団体交渉協約に禁止されているとしていた。
ディンウィディー選手はフォーブス誌の取材に対し、NBA側が最も懸念していたのは3年目の契約に関することだと語っている。3年目に現契約を破棄し、よりよい契約条件を模索できるとの内容が盛り込まれていた。ディンウィディー選手は投資家に対し、3年目により良い契約を勝ち取れた場合には「大きな配当」を支払うと約束していた。NBA側はこれが賭博行為にあたるとして反対の姿勢を見せていた。ディンウィディー選手側が計画からこの項目を削除したことで、NBA側も計画を認めることになったという。
他方で、NBAはディンウィディー選手の計画に完全にゴーサインを出したというわけではない。NBAの広報担当は10日、次のような声明を発表した。「今日、スペンサー・ディンウィディー選手の顧問から、デジタルトークン計画に関して新しい修正案が提出されました。この修正案がNBA規則に照らし合わせて、承認可能なものかどうか審査します」。