「爪の写真」で貧血症診断、スマホ医療で新成果
貧血症はもっとも一般的な血液疾患であり、健康な赤血球やヘモグロビンが不足した貧血症の人は20億人いると推定されている。通常、貧血症は血液検査によって診断されるが、新しいスマホアプリでは人の爪の写真だけで診断できるという。ネイチャー・コミュニケーションに掲載された新しい論文が報告している。
エモリー大学のウィルバー・ラム助教授ら研究チームが作成したアルゴリズムは、スマホで撮影した指の爪の根元の写真の色から、ヘモグロビンの濃度を分析することで貧血症を検出する。爪には色を覆い隠すメラニン色素を生成する皮膚細胞が含まれていないため、爪の色は身体全体のヘモグロビン値を判断する良い指標となるからだ。
4週間にわたる研究は、72人の健康対照者群を含む337人のさまざまな血液状態を対象とした。その結果、このアプリはヘモグロビン値を身体検査から評価した医師よりも優れていた、と研究チームは報告している。血液検査ほど良い結果は出せなかったが、今日の市場で米国食品医薬品局(FDA)が認可している数多くの貧血診断ツールと同じくらい、あるいはそれ以上に優れているという。このアプリを実際に使っている様子はここで見られる。
スマホを使った診断には、医者に行くよりもはるかに便利で安価だという明らかなメリットがある。特に、医療機関に通いにくい遠隔地においては役立つ。また、すでに診断を受けた患者も、症状の経過を監視するためにこのアプリを使うこともできる。
医療分野での人工知能(AI)の活用が盛んになるにつれ、この類のスマホアプリがますますいたる所で利用されるのを目の当たりにするだろう。すでに、私たちのポケットの中にあるデバイスが、うつ病、HIV、近視などを含むさまざまな症状を診断するために活用されているのだ。