北朝鮮ハッカーを米司法省が初の刑事訴追、ソニー映画への攻撃容疑
米司法省(DOJ)が、北朝鮮のハッカーを初めて刑事訴追した。
起訴されたのは、北朝鮮の諜報機関に従属するハッカー集団「ラザルス・グループ(Lazarus Group)」のメンバーと見られるパク・ジンヒョク。DOJによると、パク容疑者はペーパー会社「朝鮮万博合弁会社(Chosun Expo Joint Venture)」を通じて、北朝鮮や中国からハッキング行為をしていたという。
ラザルス・グループは2014年、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントを標的に大掛かりなサイバー攻撃を仕掛けた。この攻撃は、北朝鮮の指導者キム・ジョンウンを題材にしたソニーのコメディ映画「ザ・インタビュー」の制作後に実行された。捜査当局は、被害額8100万ドルのサイバー強盗や、コンピューターを暗号化して身代金を要求したランサムウェア・プログラム「ワナクライ2.0(WannaCry 2.0)」の開発も、ラザルス・グループによる犯行だと見ている。
DOJは、国家に雇われたハッカーの実名を公表して非難することにますます積極的な姿勢を示している。今年になってロバート・ミュラー特別検察官が、2016年の米国大統領選挙に干渉したとして11人のロシア人を起訴。DOJは知的財産窃取の疑いで、複数の中国人ハッカーを起訴している。
だが、状況は変わりそうもない。確かに訴追されたハッカーは今後、米国で休暇を楽しむことはできないが、それで事態が収拾されるわけではない。ハッキングは、機密情報を盗み出したり選挙を妨害したりするための安上がりな手段であり、問題視されている国々は今後も戦略としてハッキングを続けるだろう。ラザルス・グループ以外にも、北朝鮮はすでに別のグループを活動させている。とはいえ、刑事訴追することで、米国は事態を深刻に受け止め、サイバー犯罪を看過しないというメッセージを発することができる。