アマゾン、ちょっとやりすぎ? 「家の中」まで届ける新サービス
配達員が自宅に荷物を置いていくことのできる新サービス「Amazon Key(アマゾン・キー)」が発表された。問題は、果たしてあなたがそうしてほしいかどうかだ。
今回発表されたサービスは以前から噂はあったもので、自宅ドアのスマートロックと、専用アプリ、アマゾンの新商品「クラウド・カム(Cloud Cam)」を使ったものだ。価格は250ドル。米国37都市のアマゾン・プライム会員向けで、会員は自宅にキットを取り付ける。すると、留守中に荷物が届くと 、配達ドライバーは勝手に家に入れるようになる。アマゾンはその仕組みを次のように説明する。
配達ドライバーが配達先の家に入れてくれるよう要求する。その都度、アマゾンは暗号化された認証プロセスを使ってドライバーが本物であり、届け先の住所が正しく、また、予定された時刻であることを認証する。一旦、認証プロセスが適切に完了すると、クラウド・カムの録画が始まる。そして、ドアが解錠されるというわけだ。
アマゾンは、配達ドライバーがスマートロックのアクセスコードや鍵を入手することは決してない、と強調している。また、このサービスを利用する人はクラウド・カム(暗視機能・双方向オーディオを内蔵した独立型防犯カメラ、本体120ドル)で映像を視聴できるという。映像はライブでも、後から録画で見ることも可能だ。もし万が一のことがあったら、どうなるか? アマゾンの配送テクノロジー責任者ピーター・ラーセンは「カスタマーサービスに電話して苦情を訴えることができる。アマゾンは利用者と一体となって問題を’解決する」と ロイター通信に語っている。それはそれで……よいのでは?
それでもまだ 大きな疑問が残る。利用者は、たとえ荷物が大事な贈り物だとしても、実際に配達スタッフを自宅の中に入れる覚悟があるだろうか。アマゾンはこのサービスを奇をてらったものではなく、未来の主要事業と捉えているようだ。「これは実験ではありません」とラーセンはロイター通信に語った。「これから先、アマゾンのショッピング体験の根幹部分となります」。もはや境界線などどこにもない時代に突入した。