「アレクサ、赤ちゃんを見てて」ホワイトノイズで呼吸を監視
眠っている赤ちゃんの呼吸と動きをホワイトノイズを使って監視する新しいスマートスピーカー用のアプリが開発された。ワシントン大学の研究チームが開発した「ブレスジュニア(BreathJunior)」は、スマートスピーカーからホワイトノイズを再生し、ノイズがどのように反射されるかを記録して、赤ちゃんが呼吸する時の小さな胸の動きを検出できる。さらに、泣き声を拾うことも可能だ。
仕組みはこうだ。まず、スピーカー内のマイクを使用して、反射されたホワイトノイズ音を拾う。次に、アプリのアルゴリズムが元のホワイトノイズ信号を削除することで、赤ちゃんの呼吸と動きが発するわずかな音だけを残す。ホワイトノイズの反響を利用して赤ちゃんが部屋のどこにいるかを正確に特定する。スマートスピーカーが搭載するハードウェアとソフトウェアの両方の技術の進歩のおかげで、このような非常に繊細な追跡が可能になった。
研究者チームは、毎分20回から60回呼吸するように設定した小児シミュレーターでブレスジュニアを試験した。また、早産児によく見られる、無呼吸のような異常呼吸パターンを検出できるかもシミュレーターで試験している。その後、地域病院の新生児集中治療室で、呼吸モニターに接続された5人の実際の赤ちゃんでも試験を実施した。
研究チームは、ワシントン大学からスピンアウトした「サウンド・ライフ・サイエンス( Sound Life Sciences)」を通じてこのテクノロジーを商用化する計画だ。試験結果は、メキシコで開催される「モビコム(MobiCom)」カンファレンスで発表される予定。
ワシントン大学の研究者チームは今年の初めに、今回と同様の技術を使ってオピオイドの過剰摂取を検出するアプリを開発し、その半年後には心停止を検出するアプリを開発している。今回はホワイトノイズを使って新米両親の不安を和らげる使い方だが、今後さらなる分野への応用が期待できそうだ。