機械学習で脳波から学習、電気刺激で記憶能力を改善
機械学習ソフトウェアが人間の脳の記憶を呼び起こすために使われている。
電気的な刺激を与えて脳機能を改善しようとする試み自体は以前から実施されており、新しい考えではない。しかし、電気パルスをどのように送ればよいのかは、難しい問題だ。
ペンシルベニア大学の研究者は機械学習の手法を用いることで、この問題を解決しようとしている。まず、モニタリングのために最大200本の電極をすでに埋め込んでいるてんかん患者25人にいくつかの単語を記憶してもらい、記憶作業をしている間の脳の活動データを集めた。そのデータを訓練用データセットとして使い、記憶に関連する脳の活動についての各被験者ごとのモデルを人工知能(AI)に学習させた。
次に、同じ電極を用いて脳に刺激を与えた。研究者が被験者に記憶作業をしてもらったときのデータをAIに学習させたのは、記憶したことを忘れてしまったときに電気刺激を与えるためだ。その試みはうまくいった。AIからの電気刺激を受けた被験者は、単語を思い出す作業において、刺激を受けなかった場合に比べて15%よい成績を残した。
この実験は何の役に立つのだろうか。人類の脳に関する理解は未だに限られている。たとえ、私たちが記憶の仕組みについて正確には理解できないとしても、今回のアプローチは脳機能を改善するシステムを構築する際に助けとなるかもしれない。