遺伝性疾患への遺伝子療法に米国初の認可、ただし価格は未公表
米国政府が新薬の販売を認可すると、多くの企業は最初に、価格を発表する。しかし、スパーク・セラピューティクス(Spark Therapeutics)はそうではない。
フィラデルフィアに拠点を置く遺伝子療法の先駆企業であるスパーク・セラピューティクスは12月19日、MITテクノロジーレビューが以前の記事で報じた、希少疾患で視力を失った人々に役立つ遺伝子置換療法の認可を得た。「ラクスターナ(Luxturna)」と呼ばれるその療法は、米国食品医薬品局(FDA)が遺伝性疾患の治療向けに認めた初めての遺伝子療法である(2017年では遺伝子療法に対する3つ目の認可であり、他の2件はがんの治療向けであった)。
FDAのスコット・ゴットリーブ局長は、「この新形態の治療法は、私たちにとって転機となるでしょう」と述べた。
遺伝子療法の価格についてもまた、新たな領域に入った。スパークがなぜ治療法の価格を発表しなかったのかは容易に想像できる。おそらくびっくりするほど高価なのだ。ことによると一人あたり100万ドル程度になるかもしれない。
こういう言い方もできる。米国の平均的な家庭は、たとえ他に何も買わず、税金さえ払わなかったとしても、一回分のこの視力回復薬を買うのに18年かかるだろう、と。
スパークの問題は、年間約10人のアメリカ人しかこの薬を必要としないということだ。潜在市場がこんなに小さいのでは、どんな価格にしても大きな利益を出すことはできない。
スパークは12月19日、2018年の初めまでは価格を発表しないと述べた。保険会社や患者、株主はそれまで、価格を想像するしかない。