第二の「ケンブリッジ・アナリティカ」防げ、米国で新法案
2020年の米大統領選挙へ向けた動きが加速する中、8月1日、連邦選挙における政党の有権者データの使用方法を規制する法案が提出された。
提出したのは、民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員。同議員は自身が「有権者のプライバシー保護法」と呼ぶこの法案について、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)事件に直接的に対処する最初の法案だと述べた。フェイスブック上で8700万人もの米国民のデータが悪用されて以来、「ケンブリッジ・アナリティカ」というブランド名は、本人の行動に影響を与えることを目的に何百万もの有権者のデータを無断で悪用する行為の代名詞となっている。だが実際には、この事件は米国の選挙の世界で実施されている数多くのデータ操作のほんの1つにすぎなかった。
2017年には、共和党全国委員会が1億9800万人を超える米国民の政治関連データを誤って流出させてしまった。この事件によって、次の選挙で勝つために共和党が集めていた膨大な情報はもちろんのこと、オンラインで収集した機密データをいかに保護するかという技術的課題も浮き彫りになった。
世界中の立法者が産業界による個人データの取り扱いに焦点を絞る一方で、政治における有権者データの収集および使用を規制する米国法は存在しない。
「政治家の候補者や選挙運動が、個人データを利用して有権者を操作したり惑わしたりするようなことがあってはなりません」とファインスタイン上院議員は述べた。「この法案によって、そうした行為を終わらせることができるでしょう。今日、選挙運動は緻密なオンライン調査を実施して合法的に米国民全員の情報を集め、個々人の心理的特徴に基づいて一人ひとりに影響を与えようとすることができます」。
ファインスタイン議員の「有権者のプライバシー保護法」が通過すれば、有権者は政治団体によって収集された自分の個人情報を見直すことができ、有権者の個人情報を入手した団体に対し、その旨を有権者に通知するよう求めることが可能になる。さらに、有権者データの転送または販売が禁止されるようになる。有権者は、政治団体に自分の個人データを削除するよう指示したり、グーグルやフェイスブックといった広告会社に対しては、自分のデータプロファイルを政治団体に公表しないよう指示してターゲティング広告を防いだりできるようになる。