DNA解読の多様性を目指す、インドで10万人規模のプロジェクト
シンガポールに本拠を置くゲノミクス企業であるグローバル・ジーン・コープ(Global Gene Corp)は、インド人から収集した配列決定済みDNAの最大規模のコレクションを築くため、バイオテック業界大手のリジェネロン(Regeneron)との提携を調整中だ。
ゲノム・データにおいては、多様性の欠如が問題になっている。研究者が利用可能な世界のゲノム・データのほとんどは、ヨーロッパ由来の人のものである。インドには13億人が住み、世界人口の20%を占めているにも関わらず、インドから得られるゲノム・データは、全世界の1%未満にすぎない。
グローバル・ジーン・コープは、今後数年間でどのくらいのゲノム配列決定を目指しているのかについて、明確に示していない。しかし、このインドでの取り組みは、英国において10万人のゲノム配列決定を目指すゲノミクス・イングランドと同規模になるという。インドでの取り組みから得られたDNA配列は、病気との遺伝的関連を探るため、患者の医療記録と紐付けらる。
インドのゲノムを研究することで、病気に特有の遺伝的リスク要因を明らかにし、病気の種類によって、西洋人に比べてインド人が発病する率が多かったり少なかったりする理由を説明できる可能性がある。この研究は、新しい医薬品の開発や改善にも役立つ。 グローバル・ジーン・コープのスミット・ジャムアールCEO(最高経営責任者)は、「私たちの目標は、モバイル革命がインドにもたらしたような変化を、ゲノミクスを通じて保健医療領域でも推進することです」と述べる。