DNA検査会社がFBIにデータを無断提供、犯罪捜査に活用
消費者向けDNA鑑定データベース大手の「ファミリー・ツリーDNA(Family Tree DNA)」が、米国連邦捜査局(FBI)が犯罪現場や死体から収集した遺伝子プロファイル情報をアップロードすることを密かに許可していることが分かった。バズフィード(Buzzfeed)が報じた。
FBIは法医学サンプルを、ファミリー・ツリーDNAのおよそ200万人の顧客のDNAと照合できる状態だった。ファミリー・ツリーDNAのサービスは一般的に、血縁者を探し出したり連絡を取ったりするために系図学者によって利用されている。
ファミリー・ツリーDNAの広報担当者によると、司法当局の捜査官は現在までに22の法医学サンプルをアップロードしており、そのうちの10件はFBIからだという。これにより、未成年が被害者となった20年前のレイプ事件など、少なくとも1つの事件が解決されている。
どの程度の確率なのだろうか? ファミリー・ツリーDNAと、警察が使い始めている別のデータベース「GEDマッチ(GEDMatch)」を合わせると、平均的な逃亡中の犯罪者の場合、最低1人の「またいとこ」が含まれることになる。FBIは特別系図学チームを組んで、これらの手がかりから逮捕に漕ぎ着けた。
既知の重罪者のDNAプロファイルを含む司法当局の専用データベースは、まもなく用無しとなる可能性がある。ボルチモア大学法学部のナタリー・ラム准教授は、バズフィードに「私たちは自分の遺伝的近親者を選べません。また、自ら遺伝的関係を切断することはできません。すなわち、私たち自身が事実上の国営DNAデータベースに近づきつつあるのです」と述べている。
ファミリー・ツリーDNAは警察当局への情報提供を顧客に黙っていたため、一部の利用者からは怒りを買っている。同社の元主任科学者デイヴィッド・ミットルマンは「時に人々は科学に対して不信感を抱いています。自分の情報がどのように利用されるのか理解し同意することが、かつてなく重要になっています」と語る。「朝起きたら個人情報の使用条件が変わりましたなんてプレスリリースは、誰も求めていませんから」。
ファミリー・ツリーDNAのベネット・グリーンスパン創業者は声明の中で、警察当局がアクセスできるのは、氏名、イニシャル、電子メールアドレス、写真など、ユーザーがすでに共有している情報と同じものだと述べている。
遺伝子系図研究者のシシ・ムーアはすでにさまざまなデータベースを使って、27件以上の事件の解決に貢献している。